相続税の申告

相続税の申告

改正「相続時精算課税制度」のしくみ

(11)相続時の取扱いは?

相続時精算課税制度を適用した場合の相続税額は、次のように計算する。

①相続時精算課税を適用した者の課税価格の計算

相続又は遺贈により取得した財産の価額

みなし相続財産

相続時精算課税の適用を受けた財産の価額(A)(贈与時の価額)

債務及び葬式費用

相続開始前3年以内に取得した財産[(A)を除く]

課税価格

②相続時精算課税不適用者の課税価格の計算

相続又は遺贈により取得した財産の価額

みなし相続財産

債務及び葬式費用

相続開始前3年以内に取得した財産

課税価格

③課税遺産総額を計算する
(①+②)-遺産にかかる基礎控除額=課税遺産総額
④各法定相続人の法定相続分に応ずる取得金額を計算する
⑤④に対する相続税額を求め、それを合計する(相続税額の総額の計算)
⑥⑤を取得した財産額で按分する
⑦各人の納付すべき相続税額を計算する
⑧相続時精算課税適用者の還付税額を計算する

(例) 父親が死亡
・相続財産……2億円
・相続時精算課税適用財産……4,000万円(イ)
・相続時精算課税適用時の贈与税額……300万円
・相続人……母親、長男(相続時精算課税適用)、次男
・分割割合……母親1/2(1億2,000万円)、長男1/4[2,000万円+(イ)]=6,000万円]、次男1/4(6,000万円)とすると、

①相続時精算課税適用者の課税価格の計算
2,000万円+4,000万円=6,000万円

②相続時精算課税不適用者の課税価格の計算
母親1億2,000万円+次男6,000万円=1億8,000万円

③課税遺産総額を計算する
相続税の基礎控除額
(①+②)-{3,000万円+(600万円×3人)}=1億9,200万円

④各法定相続人の法定相続分に応ずる取得金額を計算する
・母親
1億9,200万円×1/2=9,600万円
・長男、次男
1億9,200万円×1/2×1/2=4,800万円

⑤相続税額の総額の計算
・母親分
9,600万円×30%-700万円=2,180万円
・長男、次男分
(4,800万円×20%-200万円)×2=1,520万円
・合計2,180万円+1,520万円=3,700万円

⑥ ⑤を取得した財産額で按分する
・母親分
3,700万円×1/2=1,850万円
・長男、次男
3,700万円×1/4=925万円

⑦各人の納付すべき相続税額を計算する
・配偶者
→配偶者に対する税額の軽減により納付税額ゼロ
・長男
贈与額
925万円-300万円=625万円
・次男
925万円