相続税の申告
改正「相続税」のしくみ
(9)相続財産でもないのに相続税がかかるものもある!?
相続税は、民法の規定の上に乗っかって定められている。そんなことから、民法に規定する相続財産(本来の財産)は相続税でも相続財産になるのだが、相続税では、民法に定めのないものについても、その財産価値に着目して、相続税を課することとしている。この財産のことを「みなし相続財産」という。 みなし相続財産には、次のものがある。
1. 被相続人の死亡により受け取る生命保険金等
被相続人の死亡により、相続人等が受け取る保険金等で、被相続人が保険料等を負担していたもの
2. 被相続人に支給されるべきであった退職金等
被相続人の死亡により、相続人等が受け取る被相続人に支給されるべきであった退職金等で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの
3. 生命保険契約に関する権利
相続開始の時において、まだ保険事故が発生していない生命保険契約で、被相続人が保険料等を負担し、かつ、被相続人以外の者が生命保険の契約者となっているもの
4. 定期金に関する権利
相続開始の時において、まだ保険事故が発生していない定期金給付契約(③に該当するものを除く)で、被相続人が掛金等を負担し、かつ、被相続人以外の者が定期金給付契約の契約者となっているもの
5. 保証期間付定期金に関する権利
定期金給付契約で、定期金受取人に対しその生存中又は一定期間にわたり定期金を給付し、かつ、その者が死亡した時はその遺族に支給されるもの
6. 契約に基づかない定期金に関する権利
被相続人の死亡により、相続人等が受け取る定期金に関する権利で契約に基づかないもの(恩給法の規定による扶助料に関する権利を除く)
7. 贈与税の納税猶予の適用を受けた農地等
農地等を贈与した場合の贈与税の納税猶予の特例の適用を受けた贈与者が死亡した場合におけるその特例の対象となった農地等
8. 特別縁故者に対する分与財産
相続人の不存在により、特別縁故者が受ける分与財産
9. 遺言による財産の低額譲渡
遺言で著しく低い対価で財産の譲渡が行われた場合のその時価と対価との差額の相当する利益(その譲渡が、その譲渡を受けた者が資力を喪失して債務を弁済することが困難な場合に、その扶養義務者からなされたものは除かれる)
10. 遺言による債務免除
遺言で債務の免除、引き受け又は第三者弁済等がなされた場合のその利益相当額(その債務の免除、引き受け又は第三者弁済等が、その利益を受けた者が資力を喪失して債務を弁済することが困難な場合に、その扶養義務者からなされたものは除かれる)
11. 遺言によるその他の経済的利益
遺言により特別な利益を受けた場合におけるその利益相当額
12. 遺言による信託に関する権利
遺言により信託の受益者等が受けるその信託に関する権利
13. 特別の法人から受ける利益
持分のない法人(持分の定めのある法人で持分を有する者がないものを含む)への遺贈により受ける特別の利益
相続税では、相続人がこれらの財産を取得した場合には「相続」と、そして、相続人以外の者が取得した場合には「遺贈」により取得したものとして取り扱われることとなっている。
なお、これらのみなし相続財産は、民法上の本来の相続財産ではないため、遺産分割の対象に含めないこととなっている。