相続税の申告
改正「相続時精算課税制度」のしくみ
(16)どんな財産を贈与するのがよいか
どんな財産を贈与するとよいかは、この制度をどんな目的で使うかによって違ってくる。
1. 資金援助の場合
資金援助を目的とする場合であれば、当然、現金であるが、コンスタントに入ってくる収入を手当てしてやるというのであれば、収益物件を贈与するのがよいだろう。
2. 所得税対策・収益移転対策の場合
親の所得税対策も兼ねてという場合であれば、収益物件を贈与すればよい。そうすれば、子に所得を移転させることができ、子はそれを相続税の納税資金として活用することもできる。
3. 相続税対策の場合
地価は今後上がるかどうかわからないが、たとえば、宅地開発される予定の土地や再開発地区にあるような土地で、将来土地の価値が上がる見込みのある宅地などは、早々に贈与しておいたほうがいいし、会社の業績がよく将来の事業承継に不安があるというような場合であれば、自社株を贈与しておくとよい。そうすれば、それ以降の財産の価額の上昇は影響しないこととなる。
4. 遺産分割をめぐるトラブル防止対策
遺産分割めぐるトラブルを事前に防止するためにこの制度を活用するということであれば、どの財産を誰に贈与するかという計画をあらかじめ立て、その計画に基づいて実行するのがよい。