相続税の申告
改正「相続時精算課税制度」のしくみ
(15)どのように使うのがよいか
この相続時精算課税制度には、次のような活用方法が考えられる。
1. 資金援助
一般的な使い方としては、子供や孫への資金援助であろう。ローンの返済資金であるとか、車の購入資金、住宅資金の頭金などとして活用できる。
ただし、住宅の購入資金を贈与するのであれば、お金を出してあげるより、建てた(購入した)住宅を贈与してあげる方が有利になる場合が多いので検討するとよい。
なぜなら、住宅で贈与する場合の財産の評価は、土地は路線価評価(固定資産税評価額に倍率をかけて計算する地区もある)、建物は固定資産税評価額となるが、いずれも一般的に購入価額より低い評価額になるからである。
2. 所得税対策・収益移転対策
親の所得税が高い場合には、その収益を生み出す物件を子供に贈与することによって、所得税の負担を軽くすることができる。
また、子にとっては、収益部分を無税で贈与してもらったことと同じ効果が得られることになる。
3. 相続税対策
収益物件を子供に贈与すれば、その時点から、その物件からもたらされる財産の増加をストップすることができる。
また、将来的に評価が上昇すると思われる財産については、早い時点で贈与しておけば、その上昇部分は相続に影響しないので、相続税対策になる。
4. 遺産分割をめぐるトラブル防止対策
この制度を活用して、各子供に財産を移転しておけば、相続時の遺産分割をめぐるトラブルを回避しやすくなる。