相続税の申告

相続税の申告

改正「贈与税」のしくみ

(14)特定障害者に対する贈与はこうなった

贈与税では、障害者に対して、心身障害者共済制度に基づく給付金受給権のほか、特定障害者に対する信託受益権について非課税措置を設けている。
概要は、次のとおり。

特定障害者に対する信託受給権の非課税制度とは、特定障害者を受益者とする特定障害者扶養信託契約で、次の要件を備えたものに基づき、金銭、有価証券、金銭債権その他の財産が信託された時は、その信託受益権の価額のうち6,000万円(特定障害者のうち特別障害者に該当する者が対象)までの金額は贈与税がかからないというものである。

要件
1 特定障害者のうち精神又は身体に重度の障害がある者で一定の者(特別障害者)が、信託受益権の全部の受益者となっていること
2 信託財産が、金銭、有価証券、金銭債権、その特定障害者の居住の用に供する不動産その他一定のものであること
3 受託者は、信託会社又は信託業務を行う銀行であること
4 信託期間は、特定障害者の死亡の日(改正前は死亡の日後6ヶ月を経過する日)に終了するものであること
5 信託契約は、取り消し又は解除することができず、かつ、その信託期間及び受益者の変更ができないものであること
6 信託の収益は、特定障害者の生活又は療養の費用に充てるため、定期的に、かつ、実際の必要に応じて適切に分配されるものであること
7 信託財産の運用は、安定した収益の確保を目的として適正に行うこととされているものであること
8 信託受益権は、譲渡に係る契約を締結し又は担保に供することができない旨の定めがあること
9 贈与税の非課税の規定の適用を受ける旨、その他必要な事項を記載した「障害者非課税信託申告書」を所轄税務署長に提出すること

今年度の税制改正では、その対象がこれまでの特別障害者に加えて、特別障害者以外の特定障害者についても、一定の非課税措置が設けられた。
この改正は、平成25年4月1日以後の贈与から適用される。

新たに追加された適用対象者(特定障害者)と非課税限度額
適用対象者 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター又は精神保健指定医の判定により中軽度の知的障害者とされた者及び精神障害者保健福祉手帳に障害等級が2級又は3級である者と記載されている精神障害者
非課税限度額 3,000万円