相続税の申告

相続税の申告

改正「贈与税」のしくみ

(7)贈与税のかかる財産とは?

贈与税は、本来の贈与財産以外に次のような財産にも課税される。この財産をみなし贈与財産という。

1. 本来の贈与財産

本来の贈与財産には、金銭に見積もることのできる経済的価値のあるすべてのものが該当する。

2. みなし贈与財産

また、次のような経済的利益についても、実質的に本来の贈与と変わらないことから、贈与税ではみなし贈与財産として贈与税の課税対象とされている。

イ 保険金受取人以外の者が保険料を負担していた 生命保険金、損害保険金

生命保険契約の保険事故又は損害保険契約の保険事故の発生により保険金を受け取った者が、その契約にかかる保険料の全部又は一部を負担していない場合には、その保険事故が発生した時に、その保険金のうち保険金受取人以外の者が負担した保険料の金額に対応する部分は、相続税が課されるものを除き、保険料を負担した者から贈与によって取得したものとみなされる。

ロ 定期金受取人以外の者が掛金を負担していた 定期金に関する権利

定期金給付契約(イを除く)の定期金給付事由が発生した場合において、その掛金の全部又は一部を定期金受取人以外の者が負担していた場合は、その定期金受取人が、その定期金給付事由が発生した時に、その定期金給付契約に関する権利のうち定期金受取人以外の者が負担した掛金に対応する部分の金額は、掛金を負担した者から贈与により取得したものとみなされる。

ハ 著しく低い対価で譲り受けた財産

財産の譲渡をする場合に、著しく低い価額で取引をした時は、著しく低い対価で財産を譲り受けた者は、その財産を譲り受けた時に、その対価と財産の時価との差額に相当する金額を、その財産を譲渡した者から贈与によって取得したものとみなされる。

ニ 債務免除による利益

対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で債務の免除、引受け又は第三者のためにする債務の弁済による利益を受けた場合には、これらの行為があった時に、その利益を受けた者が、その債務の免除、引受け又は弁済にかかる債務の金額に相当する金額を、免除等をした者から贈与によって取得したものとみなされる。

ホ 金銭の貸与等

親族間等で金銭の貸与があった場合において、次のような事実がある時は贈与があったものとして取り扱われる。

a. 貸与等を受けた者に返済資力がない場合、又は資力が十分あり貸与を受ける必要がないにもかかわらず貸与を受けた場合
b. 一応は貸借であっても、返済期限の定めがない場合、又はいわゆる出世払いとしている場合、ある時払いの催促なしというような場合など、その返済が行われる可能性が極めて低く、実質的には贈与と変わらない場合
c. 第三者からの貸借で、その債務者に資力又は返済能力がないために、実質的には保証人となった親族等がその借入金を返済しているような場合

ヘ 同族会社に対する財産の無償提供等で株価が上昇した場合

同族会社の株式等の価額が、次の事由により増加した場合には、その株主が、その株式等の価額のうち増加した部分に相当する金額を、次のそれぞれに掲げる者から贈与により取得したものとみなされる。

a. 会社に対して無償で財産の提供があった場合はその財産を提供した者
b. 時価より著しく低い価額で現物出資があった場合はその現物出資をした者
c. 対価を受けないで会社の債務の免除、引受け又は弁済があった場合はその債務の免除、引受け又は弁済をした者
d. 会社に対して時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をした場合はその財産を譲渡した者