相続・事業承継対策
株価対策のポイント
(1)類似業種比準価額引下げ対策
- 類似業種比準価額を引き下げるにはどうしたらいいですか。
ポイント:
1株当たりの配当金額、年利益金額、純資産価額を引き下げると株価は下がります。
- 回答は以下の通りです。
1株当たりの配当金額の引下げ
さきにふれたように、類似業種比準方式は、事業内容が類似する上場会社の平均株価と比準して計算する方法で、比準する要素は次の3つからなります。
イ.1株当たりの配当金額
ロ.1株当たりの年利益金額
ハ.1株当たりの純資産価額(帳簿価額による)
1株当たりの配当金額を引き下げる方法には、次の2つがあります。
1. 配当率を引き下げる
2. 特別配当を活用する
1株当たりの配当金額を計算する場合には、特別配当や記念配当など非経常的な配当は除かれることとされています。したがって、経常的な配当は低く抑え、業績がよい事業年度は特別配当などの配当を出せば、株価は下がることとなります。
なお、1株当たりの配当金額を一番下げるには、配当をゼロにすることですが、比準要素の2以上がゼロだと純資産価額との併用方式、すべてゼロだと類似業種比準方式の適用が認められず、純資産価額方式で評価しなければなりません。この場合には、株価は上がってしまうことも考えられますのでご注意ください。
1株当たりの利益金額の引下げ
1株当たりの利益金額を引き下げるには、次の方法があります。
1. 会社の利益の圧縮を図る 利益を圧縮する方法には、会社の節税をする方法、利益の繰延べをする方法などがあります。考え方は法人税の節税手法と同じです。利益の圧縮には一時的なものと継続的なものがありますので、一時的なものであれば株価は下がった後速やかに後継者に株を移転しなければなりません。
2. 高収益部門を営業譲渡する 後継者を株主とする新会社を設立して、高収益部門を営業譲渡すれば、利益の分散になり、株価は下がります。
1株当たりの純資産価額の引下げ
1株当たりの純資産価額を引き下げるには、次の方法があります。
1. 会社を分割する
会社を分割すると、利益及び資産(含み資産)の分散ができますので、純資産価額が下がります。
2. 会社を合併する
純資産価額がマイナス(含み損がある)の会社を合併すれば、純資産価額は下がることになります。また、発行済株式総数が合併により増えますので、1株当たりの純資産価額は下がることになります。
(『同族会社の事業承継と税務対策』より抜粋)