相続・事業承継対策

相続・事業承継対策

株価対策のポイント

(2)純資産価額引下げ対策

  • 純資産価額を引き下げるにはどうしたらいいですか。

ポイント:
会社の自己資本を減らす(会社の節税をする)か、又は含み益を減らせば株価は 下がります。

  • 回答は以下の通りです。
自己資本の部を減らす

純資産価額方式は、評価会社の課税時期における資産、負債を相続税評価額により評価替えする方法で、次のように計算します。

純資産価額=帳簿価額による純資産(自己資本の部)+含み益×(1-42%)

したがって、株価を引き下げるには自己資本の部を減らす、又は含み益を減らせばいいのです。自己資本の部を減らすには、会社に大きな赤字を作らなければなりません。大きな赤字を作る方法の1つに、役員退職金の支給があります。役員退職金の支給は、株価を下げるだけでなく、会社の税金の節税にもなり、また、相続税の納税資金としても活用することができます。社長退任時は、自社株承継の大きなチャンスなのです。

含み益を減らす

含み益を大きく減らす方法の1つに不動産投資があります。会社が所有する土地の上に賃貸用のビルやマンションなどを建設し、賃貸の用に供しますと、土地の評価並びに建物の評価が次のように大きく下がり、その結果、株価の引下げにつながることとなります。なお、建設資金は自己資金でも、借入金でも株価引下げ効果は同じです。また、土地付マンション等を購入しても同様の効果が現れます。

1. 土地の評価

賃貸用のビルやマンションの敷地は、貸家建付地といい次の算式で評価します。

土地の評価額=土地の更地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

借地権割合と借家権割合は、場所や地域によってその割合が異なりますが、建物を建てることによって、その評価額は更地評価のおおむね70%から80%に下がります。賃貸割合は、賃貸用の建物の総床面積のうち賃貸されている部分の床面積の割合をいいます。

2. 建物の評価

賃貸用の建物は、貸家といい、次の算式で評価します。

建物の評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

この算式の固定資産税評価額は、固定資産税の課税対象となる価額ですが、建築コストのおおむね60%といわれています。借家権割合が30%(大阪国税局管内は40%)ですから、建物の評価額は、建築コストのおおむね40%が評価額になります。

3. 自社株の評価

このように、賃貸用の建物を建設すると、土地の評価額が約30%、建物の評価額が60%圧縮されることとなります。
この圧縮額は含み益と相殺されますので、株価は下がることになります。ただし、会社が課税時期3年以内に取得した土地等、建物等は路線価や固定資産税評価額で評価せず、課税時期の通常の取引価額で評価することとされていますので、圧縮の効果はすぐに出ません。ご注意ください。