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相続・事業承継対策
上手な生前遺産分割の進め方
(2)生前遺産分割の進め方
まずは、生前遺産分割の進め方であるが、これには相続税額の試算、納税資金の過不足の計算、分割による相続税額のシミュレーションなどが必要になるので、できるだけ相続に詳しい税理士を交えて進めていかれることをお勧めする。
進め方は、次のとおり。
① 生前遺産分割は、まず、自分の財産と債務を洗い出し、それに将来発生するであろう財産と債務を加え、現状での相続税額を把握するというところからスタートする。
集計するには以下のような用紙に集計するとよい。
② おおよその相続税額がつかめたら、次にどの財産を誰に相続させるかを具体的に考えてみる。この場合には税務上の特例や次の相続なども考慮して一番有利になるように検討してみる。
③ 次に、その分割案に基づいた各人の相続税額を求めるとともに、納税資金が確保されているかどうかを検討してみる。
④ 納税資金が確保できていない場合は、分割案を練り直す、又は生命保険などで手当てできないか検討してみる。
⑤ 生前相続対策が可能なものは、並行して進めていく。
⑥ この物件はどうしてもこの相続人に相続させるというものについては、相続時精算課税制度を活用して生前に贈与しておく、又は時期尚早ということであれば、死因贈与契約、若しくは遺言を書いておく。相続時精算課税制度を活用して生前に贈与したり、死因贈与契約を結んでおくと、相続人は、その財産が確実に自分のものになるということがはっきりするので、その後の分割の話が進めやすくなる。
⑦ 財産の内訳や評価は、毎年変更するので、定期的に見直しをする。
⑧ 必要があれば、遺言の書き換えをする。
⑨ 生前遺産分割の実行によって、遺留分の放棄が取り付けられるのであれば、これをしておくと相続後にもめることはない。
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(『続・生前遺産分割のすすめ』より抜粋)